感想と妄想

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「きみに花を、空に魔法を」感想(11~14話)

第13話の感想を飛ばして14話の感想を書いていたのを修正しました。
な~んか推敲漏れしてる気がしてたんですよね…。(そういうレベルの問題ではないような)
気付いてよかった。
今後気を付けます。

 

※     ※     ※ 

 

第11話

前回オチにしてしまったいばらの蔦、文字にするとなんかメルヘンというか童話っぽいんですけど、超強力でした。
賢者を連れ去り、カインやラスティカの魔法も効き目がない。
私はここでのオーエンとラスティカのシーンがとても好きなんですけど、何ていうかこういうシーン、どっちにも寄り過ぎていない塩梅がいいんですよね。
ラスティカがとても察しが良くて一方的にオーエンの気持ちを汲み取ったとか、オーエンがいきなりヒーロームーブ(ここは僕に任せろ、みたいな)になるとか、そういう偏った流れじゃなくて、無言だけどお互いの目や表情を見て意思の疎通ができている感じ。
これまでなんだかんだ言いながら一緒に歌の練習してた2人だからこその対等な信頼が感じられて、いいなと思いました。
そして始まるオーエン先生の魔法講座。
ていうか、ここで既にオーエンはスカーレットの正体を見抜いているんですよね。
ラスティカはどうだったんだろう?
分かっていたからオーエンとカインに任せる気になったと思いたい。
ここでオーエンが「誠実」や「信頼」という言葉を使ったのが、意外だけど印象的でした。
オーエンって北の中では人の感情や良識に理解度が高い魔法使いだと私は思っているんですが、そうでなければ他者の恐怖や悪意を狙って煽ったりできないじゃないですか?
なのでそこは良かれと思って相手の地雷を踏み抜く助言をしたり、少し倫理観の欠如した冗談を言ってしまうフィガロ先生とは対照的なイメージはあります。
で、オーエンの向ける悪意って相手の恐怖や不快感の鏡写しだから(と私は解釈している)、基本姿勢が「快」「楽」みたいな西の魔法使い相手だと調子が狂うんだろうな、と。
話が逸れた。
オーエンが「誠実に信頼するのが中央のやり方」だと理解していて、他のやつはカインの事をそう思っているのに、オーエンはそう思っていないっていうのが私的にはこの場面の熱くもあり、辛いところなんですよね。
いや、ここは人によって感じ方違う部分かなとも思う。
単にオーエンのツンデレにみたいに受け取ることもできるし、初見の時は私もそんな風に受け取っていました。
でも今の私はオーエンが、「カインは自分に対して誠実に信頼していない」と思っていることを言語化した説を採りますよ。
あと、オーエンによる精霊の説明は読者の私達にもこの世界の魔法の在り方について親切な説明でしたよね。
ありがたい。
そんなこんなでまだ全然お互いを分かり合えていない
因縁の2人、共闘することで絆が生まれちゃう?と期待感が高まるのでした。

 

上空は大人メンバーなので、なんだか安心感あります。
ブラッドリーがいばらに囲まれたグランヴェル城の話を聞いて、オーエンの心配をしてましたよね。
夢の森での態度もきっとオーエンの面子を立てて深堀りしなかったんでしょうけどね、なんか今オーエンの傷の秘密について一番近い場所にいそうなのがブラッドリーのようにも思えるので、今後の展開が気になります。

 

第12話

バルコニーでのミスラに対するフィガロ先生の年長者ムーブ、凄かったですね。
文句言いながらもちゃんとミスラ従ってるし。
勿論、そこはルチルに何かあれば自分の身も危険だから頑張るしかないというのもあるけれど。
私は「本編に記載されている事が真実だ(だが妄想は自由だ)」派に所属しているので、今のところミスラが魔力の強さ2番手という点に疑問は抱いていないんですが、でもオズにしろミスラにしろ自分より力のある魔法使いに対して精神的に優位に立てるフィガロ先生ってある意味最強なんだよな、とは思います。
上に立つものとしての挙動が身についているし、これに関しては流石双子先生の1番弟子と思わざるを得ないんですよね。

 

で、庭園なんですけど、なんでここ子供だけなんでしょうか。
パワーバランスがおかしい。
いや、戦力が均等になってる方がストーリーとしては不自然なんですが、でも中庭、明らかに1番ピンチじゃないですか。

自分達だけではミノタウロスに太刀打ちできないと判断したシノが、命運を託す相手に選んだのがミチルっていうのが激アツでした。
メインストーリー初期でのギスギスから「向日葵」「ティーパーティー」を経て、ここまで2人の信頼関係の構築をずっと見守ってきた私達(大主語)だからこその感動というか。
まほやくのストーリーの好きなところとして、登場人物達が称号以外の組み合わせでも良いエピソードがあって、最初は気になる子周辺を追っていても段々他の子への理解が深まって好きになっていくというのがあるんですけど、6話でのファウスト先生とネロとか、11話のオーエンとラスティカとか、このイベストでの彼らの関係性の変化が自然に反映されていてそれにとても心揺さぶられました。
そして、そんな私に追い打ちをかけるようなヒースクリフの「約束しろ!」。
これね、もうヒースとシノはお互いに守り合う約束で結ばれているのに、それでもヒースは言わずにいられなかったのかなと思うと胸が苦しいですね。
そして、シノは「信用しろ!」としか言わない。
白状するとここでちょっぴり泣きました。
”シノ、「ここは俺が食い止める、みんなは先に行け」フラグ出しちゃったけど、自分の身に何かあればヒースとの約束が破られることは判ってる筈なんだよ。だから決して自分が犠牲になるつもりだった訳じゃないと思ってる。信じてるよ。”と私この日のTwitterで熱弁してたんですよね。
まさかこの後あんな展開になるとは。
よもや、よもや。

 

舞台は戻ってバルコニー。
ルチルの前では大きな魔法を使いたくない理由をしれっと明かし、その上でオズを引き合いに出してミスラを煽るフィガロ先生、えげつない。
囮になってリヴァイアサンを引き付けながら箒で飛ぶルチルは動画で見たいです。
緊張感溢れるシーンですけど、ミスラと双子先生、ルチルとフィガロ先生の会話に少しだけ笑える要素を盛り込んでくるあたり、読者の感情コントロールが上手いんだよなぁ。

 

※抜けていた13話の感想を追記しました。(えへへ)

 

第13話

フィガロ先生の提案でリヴァイアサンをアルシムで海へ連れ出し、そこで決着をつけることになったバルコニー組。
水中でルチル腕と足を両側から引っぱるフィガロ先生とミスラはあたかも大岡裁きの子争いなんですが、ここでルチルの手を離してしまうフィガロ先生の方を切なく感じてしまうのは私だけじゃない筈。
「お城が壊れたら悲しむ子」ってそれはアーサーの事?それとも元弟子の彼の事でしょうか。

 

その2人が閉じ込められた城内では、誤って魔法を使わないようにアーサーからオズに剣が渡され、いつも魔法より先に手が出るレノックスはファウスト先生に魔法で攻撃の援護をするように指示されていました。
城内、中央の国の王子、中央の国建国の英雄(王子には秘密)、その元従者、世界最強の北の魔法使い(今は中央の魔法使いで王子の育ての親)という因縁浅からぬメンバーにも関わらず、全体的に雰囲気が可愛いかったんですよね。
中編読む前は、このメンバーで舞台がグランヴェル城なんて絶対一波乱あるやつじゃん!?と怯えていたのですが、蓋を開けてみたら「剣をふるうオズ様はきっと格好いいと思います!」「そうか…。」に、「とう!」「はっ!」ですよ。
おまけに「ヴォクスノク!」すぅ…。て。
BGMは凄いシリアスなんだけどなんだか笑っちゃって、ここのパートだけはとても癒されました。
オズが「すぅ…。」ってなった時のアーサーの表情がビックリしてて面白い(Live2Dだけど)ので、見直す機会があったらみんな見て欲しい。
ファウスト先生の「とう!」はボイス欲しかった。

 

この後の賢者の夢?幻覚?はとても意味深でしたね。
ムルのセリフは賢者へ向けたものだったのでしょうか?それともターリア?
「きみこそが、かけがえのないもの、君の代わりはいない。」
さっきまで笑わせてたのにいきなり何なんですか。
この言葉って登場人物の誰もが誰かにそう思っていて、でもそれはその相手には伝わっておらず、そして誰もが心の奥底で求めている、そんな言葉ですよね。
いつかこの物語が終わる時には皆が其々の思いを伝え合えて、自分自身にそう思えればいいんですけど。


ところでこのパートの最後に入る交通事故のようなSEってやっぱり現世での賢者の状態を示しているんですかね?

賢者の肉体は事故で植物状態、魂だけがまほやく世界に召喚されているとか?
私こういう考察は苦手なので多分全然違うと思います。
考察は得意な方にお任せしたい。

 

目を覚ました賢者の前に現れたオヴィシウスは、「ここで大人しくいばらの城が蘇るのを見ていてもらう」と、けんまほそれぞれの戦いを同時多元中継してくれるみたいです。
展開上、そういうのがないと賢者がストーリーに絡めないから仕方ないんですけど、今回の敵って何かと優しいというか親切ですよね。

全然関係ないんですが「ばらの窓」って、「ウテナ」に出てくる「かしらかしら?ご存知かしら?」のくるくる回るばらのフレームが浮かんでずっとそのビジュアルで再生されていました。
くるくる回るばらのフレームの中に納まるけんまほ。
あまり違和感ない。

 

第14話

ミスラのアルシムによって舞台は大海原に変わり、派手な魔法バトルが繰り広げられるんですけど、魔法使いってやっぱりみんな大きな魔法使う方が楽しいんだろうなってこの時のフィガロ先生の微笑(Live2Dだけど)とノリノリな台詞を見て思いました。
確か、メインストーリーのトビカゲリを串刺しにした時のオズもうっすら笑顔(Live2Dだけど)だったんですよね。
自分の力を解放して相手をねじ伏せる感覚って生物の根源的な快感の一つのような気もするので、なんだか彼らの本質の一部を少し見たような気がしました。
あくまでも少しね。
だってフィガロ先生、まだまだ余裕だったでしょ。
で、遂に(自分的に)問題のシーンが来てしまいました。


ミスラ、フィガロ先生にキレる。


まぁ、ここまで散々いいように使われてたし、命令されるのもムカついてたんでしょう。
でもミスラちゃんさ、自分でも気が付いてないかもしれないけど、この時ってルチルとミチルの為にフィガロ先生に怒ってたんだよね?
ここはミスラの情緒に触れた気がした場面でした。
そう、まだ朧げだけど、それが愛ってものじゃないんですかね…。
ミスラはチレッタと約束した時点でルチルとミチルを守る選択を自らしてるんですよね。
最初は死なないようにどこかに閉じ込めるとか言ってたのが、ルチルの舌噛み事件を経てブラッドリーやフィガロ先生に託すようになっている。
段々兄弟の自由意思を尊重するようになっていて、遂に兄弟の安全より自分の道楽を優先してそう(に見える)なフィガロ先生に怒れるようになった。
短期間に凄く成長してるけど、その情緒の種はチレッタによって撒かれていて、今まさにその枝葉を伸ばしてるんじゃないでしょうか。
南兄弟に約束で縛られてると自分でも思っていたんだろうけど、それは元々自分の愛情由来の「選択」だったんだよ、ミスラ。

 

もうこの辺からかなり涙目になっていたんですが、そこからのルチル、それに続く双子先生の言葉…もうこれ…ほんとに…。
ここで突然の自分語りなんですが、私、まほやく始めたの2020年5月で、初めてのイベストが「泡沫」だったんですよ。
読んだのはメインスト全て読んでからなので5月の後半だったと思います。
人は最初に読んだイベストを親だと思うというじゃないですか?
あのストーリーのラストは結構人によって解釈が分かれるというか、あれを救いだと思う人と諦念(というか絶望?)と思う人がいるみたいで、私は前者なんですよね。
フィガロ先生への答えはもうここに書いてあると思っています、今のところ。
勿論、これからのストーリーの展開次第ではその認識が変わる可能性は全然あるとは思うんですけど、私はこの13話でのルチルの台詞は「泡沫」の回収だなとめちゃめちゃ思いました。
フィガロ先生、自分に正論で殴りかかってくる相手の言う事は揶揄した上でそれ以上の力で殴り返すけど、真っ直ぐに自分を信じて差し伸べられた手ならどう?
あとは握り返す勇気だけなんじゃない?
ルチルはその手を今差し出してる。
ミチルもいつだって差し出してるんだよね。
本当は気付いている筈。
どうなんだろうか?
スノウ様の「もっと切なるもの」というのもきつかった。
多分、現時点でのフィガロ先生の1番の理解者は双子先生だと思うんですよね。
追い詰められた愛弟子への救いの言葉にまじで泣きました。

 

自分は選ばれなかったと自覚しても尚、約束までして愛する事を選択したミスラ。
自分が選ばれなかった事に傷ついて、誰よりも愛を求めているのに誰の手も取れないフィガロ先生。
ここはもの凄い対比だったと思います。


急にちょいちょいポエムになって何?と思うでしょうが、このポエム部分、ほぼ当時の自分のTwitterなんですよね。
なんか、このパートを読んだ翌日辺りの自分のTwitterがめちゃめちゃ荒ぶっていて自分でも笑っちゃいました。

上空の魔法使い達は危な気なく戦っています。
ネロにシアンを殺させないように気遣うシャイロックの優しさが胸に沁みる。
その優しさをちゃんと汲み取れるブラッドリーも大人だ。
バジリスクの尾の蛇が吐く酸を利用していばらを溶かす頭脳戦、安心感しかないですね。
海上組だってルチル以外は皆さん結構なお歳だったのに、どうして…こんな…。

 

※     ※     ※ 

次は中編全てとか言ってたくせに、またもや凄い長文になってしまいました。
このモチベーションであと4話分書けないと思うので、ここで一旦切ろうと思います。

まさかの1話分感想を入れ忘れるという凡ミスをしてしまいました…。
恥ずかしい!!!!