感想と妄想

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「きみに花を、空に魔法を」感想(23~26話)

第23話
リケとミチルが箒星の雫でブーストしたランタンを光らせて「ボス、殺っちゃってくださいよ!!!」とばかりに盛り上がったところでのまさかのブラッドリー消失。

なんか、まほやくのこういう緊張した場面が続いたところで不意に挟み込まれる脱力系のコメディシーンが私はかなり好きです。
ブラッドリー、1月のホームボイスといい厄災の傷をいい感じで持ちネタにできてるんだよなぁ。
こんなのみんな好きですよね?


「お前が死ぬのが怖いんだ!」と面と向かってシノに伝える事の出来たヒースを心から褒めてあげたい。
シノとヒースはいつか本音で殴り合わないとダメだよと言い続けて早半年、なんかヒース、そんな私の心配など軽々と飛び越えちゃったな。
後は若いお2人でどうぞ、って思っても大丈夫?(そんなことはないってこの後の東バラッドで思い知るのですが、この時は知る由も無し)

 

そんなこんなで全恩愛の者激震の「血の絆」(勝手に命名)のシーンが来てしまいました。
いやもう、敵がオズの血を媒介にして強力魔法を使用してきた時点で、「では味方にも?」という発想はありましたよね。
でもまさかこんなに早い段階でそんな機会が訪れるとは。
自らの血を媒介に力を与えようとするオズがアーサーに告げる「英雄の血を受け継ぐ子よ~」という言葉は、親から子へというよりは戦いに赴く勇者を導く守護者のそれだと思いました。
みんなが言ってる事ですけど犬バラッドでのアーサーはオズにとってのドロシーだったけど、1周年イベストでのオズはアーサーにとってのマーリンなんですよね。

オズ様が見守ってくれればなんだってできると思っているアーサーにとっては、最大の祝福と加護じゃないですか。
ま さ に 「光のまじない」。

この「光のおまじない」(勝手に命名)、アーサーへの鼓舞激励だけどそのままオズの願いでもあるんですよね。
運命に抗い、何にも道を塞がれることなく生きて欲しいっていう。
心の強化魔法、それが大切な人からの言葉なの、本当に好きだ。
オズから魔力を授かったアーサーの手に巻き起こる嵐。
宝剣カレトヴルッフ召喚からの、抜剣!
カレトヴルッフを翳してアーサーが唱える呪文に続いて鳴り響く雷のSE!!!
「神々しく、苛烈な、雷のように。」
ヤッバーい!超アガる!
まほやく、こういっちゃあれなんですけど個人的にSEが微妙(というかバリエーションが少ないのかな?)だなと思う事が時々あって、音楽は好きなだけにSEもうちょっと頑張って、と思っていたんですがここはパーフェクトです。
ありがとうSE入れてくれた人!最高だ!!!
(まだ序盤なのにこのパート長いな?だが好きに語るぜ。)
そういえばカレトヴルッフ、選ばれた者しか抜くことのできない魔法が施されていたんですよね。
フィガロ先生が最初からカレトヴルッフを使おうと思っていたのか気になったのはその点です。
誰がカレトヴルッフを扱えるのか(アーサーは血統的にも資格があるとは誰もが思うだろうけど)知ってたんだろうか?
それともカレトヴルッフ封印の魔法を解く術を知っていたのか、物語中では特に説明がなかったので、凄く気になりました。
他に媒介を準備するつもりだったとしたら、その場にカレトヴルッフとアーサーが存在したのはとてもラッキーだったんだけど、フィガロ先生の性格を思うとそんな行き当たりばったりな準備する?という気もして、どうなんだろう?とモヤモヤしています。
念の為「宝剣」読み直したんですが、カレトヴルッフについては「選ばれた者しか引き抜けないよう、魔法をかけたらしい」としか書かれていなくて、おお、またそんなどうとでも取れる曖昧な書き方…と苦笑してしまいました。
なぜそこに拘るかというと、この宝剣、多分今後もストーリー中で重要な役目を担っていきそうな気がするからなんですけど。
どうですかね?

 

ところでこの「血の絆」のシーンでオズがもっと早く気付けばファウストやレノックスにも施すことができた、って言ってるの凄くないです?
ストーリー序盤では「自分の血を他人に奪われるようなことはしない」と断言してたオズが、弟子のアーサーだけならいざ知らず、最近知り合ったばかりのファウスト先生やレノックスにまで自分の血を与えてもいいって思ったんだから。
夜に魔法が使えない無力感がそうさせたのかもと思うと皮肉ではあるけど、それまで他人への興味などほとんど持たずに生きてきたオズが仲間へ見せた信頼という点ではもの凄い進歩だと思うんですよね。
厄災の傷、「その魔法使いの潜在的な願望の表出」説がありますが、その願望の根源であるトラウマやコンプレックスを克服する為の試練、みたいな面もあるのかもね。

まぁ、あそこにいたのがファウスト先生とレノックスっていうオズから見たら比較的信頼できそうな人だったってのもあるかもしれないけど。

 
賢者の居場所を探索するファウスト先生を身を挺して守り、寡黙に戦うレノックスがとてもカッコよかった。
この戦闘場面での比喩「磔の丘、罪人を焼く炎」は、ファウスト先生のキャラクターモチーフと言われているジャンヌ・ダルクやキリストに重なる部分は勿論あるとは思うのですが、やはり直接的にベースにしているのは400年前の火刑ですよね。
あの悲劇をもう2度と繰り返さない、絶対に主を守り抜くという強い意志で死闘を繰り広げる戦士レノックスと、純白の衣服を一敵の血でさえ汚す事無く責務を遂行する聖者ファウストの対比を苛烈に描いた場面でした。
余談ですがレノックスやカインといったフィジカル的に優位な魔法使いが魔法の面ではそれほど強くないという設定って、パワーバランスの平均化という点では納得なんですが、これからもこんなに負傷しなければいけないのですかね。
何故ならば魔法は心で使うものなら、彼らにも相応の心の強さがあると思うので。
とはいうものの、レノさんはまほやくキャラの中では貴重な肉弾戦を得意とする存在でもあるので、魔法より先に手が出るというチャームポイントを失って欲しくない気持ちもある。
ここは複雑な思いです。

 

フィガロ先生がアーサーをハグして送り出す場面、あれって守護の魔法的なやつだと私は思うんですが、あそこは「オズがぱっと出来ないことを、手早くやってあげた」って言うだけで具体的にどういう気持ちで何をしたのかフィガロ先生自身が明言していないので、色々な解釈ができるんですよね。
単に魔法が使えないオズに替わってアーサーに魔法をかけたとも思える(勿論そこにはアーサーを心配するオズへの気遣いもあると思う)し、不器用でアーサーに気の利いた言葉もかけることできない(実はその前に「光のおまじない」をかけてるんですけどね!)オズへの「こういう時はこうしてあげるんだよ」っていうお手本を示しているようにも思える。
実は私、フィガロ先生ってオズには身内的な情を持っていても、アーサーの事はもしかしたらそこまで興味がないのかも、と思って
いたんですよ。(中央の国の権威を利用すると言ってたし、十五夜ログストとかもあったので)
でも矛盾しているようですがフィガロ先生の人間的な善性を割と信じている部分もあり、なんだかんだ言いながらもアーサーに対して親戚の叔父さん位の愛情は持っていてくれてたらいいなという願望もあったんです。
だからあのハグはどんな意味だったとしても嬉しかったな。
あとは、これは私の希望的な妄想なので読み飛ばしてもらっていいんですが、あの瞬間だけはフィガロ先生にとって「俺ときみで中央の国とアーサーを見守っていく幸せな世界」だったんじゃないのかなって。
叶わなかった夢が一瞬でも叶った運命の巡り合わせへの感謝のハグ、みたいな。(ポエム)
だってファウスト先生に「きみもハグが必要?」って、とても嬉しそうだったから。

 

 第24話

絶体絶命のミチルとリケの前に颯爽と現れた俺たちのボス、ブラッドリー。
2つ前のパートであんなに面白く退場しておきながらずるいですよね。
ていうかブラッドリー偶然戻れたって言ってるけど、そんな出来過ぎな…。
本当に偶然なの?凄くない?
ただのご都合主義でもいいんだけどなんかこれ、今は誰も気付いてないだけで実はブラッドリーと賢者の「子供たちを救いたい」という強い願いがシンクロして、ある程度移動先をコントロールできたとかじゃないの???
オズやミスラは賢者の謎パワーで厄災の傷を短時間でも無効化できてるので、他の人だって何らかの影響を与える事ができたっておかしくないじゃない?
考えすぎでしょうか???
でも賢者、ブラッドリーの手を握ってる訳じゃないからただのご都合主義展開ですかね…でもなぁ…。

 

ミチルとリケは今回、頼れる大人がいない中で怖くて辛い思いもしたし、自分達の魔法が強大な相手に全然通じないという現実も知らされたと思う。
箒星の雫という強化アイテムもあったからもっと大きな活躍があるかもと思っていたので、その点では少し残念でもあるんですが、でも彼らにしてみれば貴重な挫折体験でもあるので、これを糧にした成長ストーリーが今後絶対あると思ってます。

現にその直後の東バラッドで、ミチルは彼なりに自分がみんなの役に立てる道を考えて行動してるし。
(追記2021年2月25日:今日東バラッドのSRファウスト先生のカドスト読みました。そういう背景があったのですね…。ここは私の早合点でした。でもここでミチルがファウスト先生を頼ったのはシノの影響も大きいと思うし、ファウスト先生もミチルと接することでフィガロ先生への評価が変わってきていると思う。即効性はなかったけど、少しずつみんなの心に変化は起こっていると思います。)
彼らはけんまほの中で年齢も低く、それぞれの生育環境もあって戦う為の魔法の力は成長途上だと思うんですよ。
ここは2部以降で凄く期待したいところですよね。

 

ヒースはね、凄い頑張ったと思う。
シノが死ぬのが怖いって自分の臆病さを認めた上でのあの決断だから。
カッコ良かった。
これもヒースからシノへの「言葉の魔法」ですよね。
「あんなにボロボロだったシノが急にミノタウロスを一撃で倒せるなんて不自然」という意見も見たんですけど、私はここは別にご都合展開とは思わなかったな。
寧ろどんな強化魔法より、大切な人からの言葉が心を強くして最大の力を与えるという演出で凄く好きです。
正直言うとブラッドリーが中庭に戻ってきた時、彼には悪いけど「あー、ここまで子供達だけで頑張ったのに結局最後はブラッドリーが敵を仕留めちゃうのか」って少しガッカリしそうになったんですよ。
でもその後のヒースの決断とシノの復活でめっちゃテンション上がりました。
ブラッドリーもあそこで俺が俺がって前に出ない、弱くても頑張る奴は尊重する親分肌な事はこれまでのストーリーで何度も描写されてるから全然違和感なかったし。
あのシーン、とても好きです。
やっぱり何回読んでもシノとヒースの場面が一番泣けちゃうんだよな。
自分の未来を自分で切り開く子供の物語が好き。
そしてそんな子供たちを尊重しながら見守り、支え、導く大人達が、そこから愛や癒しを得ていく物語も好き。
好きなんです。

 

南の頼れるお医者さんのフィガロ先生、この時のカインを救えるのは彼しかいなかったんですよね。
23話でのアーサーへのハグやファウスト先生への激励、レノックスへの気配り、等々めちゃめちゃ大活躍じゃないですか。
フィガロ先生と同等に多種多様な事を平行してできる魔法使いは多分他にいないんですよ。
ただ、もうちょっとフィガロ先生をサポートできる人が何人かいないと、また今回みたいに21人がバラバラになった時、今後手が回らなくなるんじゃないですかね。

私は「泡沫」を親だと思っているので、このフィガロ先生の資質を次の世代に受け継がせることが彼の救いにもなるんじゃないかと思っているんですよね。
ルチル・ミチルが大好きな先生から治癒魔法を学び、ファウスト先生との確執が改善すれば彼が南兄弟を後見することもできるだろうし、そうなればレノックスも心置きなくフォローできる。
フィガロ様も推しです」と言い切るアーサーだって沢山の事をフィガロ先生から学んでいるはず。
そんな次の世代を守り、導くことを「道楽」と冷笑せずに向き合えるようなきっかえさえあれば人生大逆転だと思うんですけど。
それじゃいかんのか、フィガロ

 

双子先生の指導下でのミスラとアーサーの共闘もとても良かった!
アーサーにしてみれば「夜明けが来るまで、世界でもっとも、強い魔法使い」ミスラの本気魔法を目の当たりにできる、実践レッスンですよね。
オズから魔力を授かる時もそうだったんですけど、アーサーって普段はあんなに優等生然としてるのに、強い魔法に対する純粋な好奇心と憧れを隠さず、自ら欲していくところがあるじゃないですか。
それってアーサー本来のものなのか、オズの元で育ったことで培われたものなのか、いずれにしてもとても魔法使いらしさを感じる性質だと私は思っています。

それもあってミスラとアーサーの魔法舎半壊コンビは見た目や態度は正反対でも、私はあれで結構似たもの同士だと思うんですよね。
大魔法使いに弟子として拾われたところも共通しているし。
ミスラのアルシムで砕け散った、リヴァイアサンの氷晶が降り注ぐ中での2人のハイタッチが何だか爽やか(双子先生は災難でしたね)で、ここだけジャンプのスポ根漫画みたいって思いました。

 

ところでオズの血によるバフ効果、イベスト中の瞬間風速的にはテンション爆上がりしたんですけど、やっぱり考えれば考える程今後の負方向の起爆剤になりそうで怖いんですよね。
死ねば上質な石になり、数滴の血液でも強力な媒介になる存在が夜には魔法使いから身を守る術が無い。
なんか、怖い。
何て言うか、これ最強すぎるんですよね。
これが「最終決戦で死を目前にしたオズが、今にも力尽きそうなアーサーに命と引き換えに進むべき道を示す」(例えが長い)みたいな1度限りの展開なら胸熱なんですけど、メインストでもないこんな早期に繰り出してくるって事は絶対今後何か揺り戻しがある気がして。
まぁ、私が作者ならイベストでこのバフ魔法の凄さを見せつけておいて、でも今後はそう気軽に使えないような超強力な制約を設けるかなってだけで、勝手にどんなえげつない制約が来るんだって怯えてるだけなんですけど。
制約、えげつなくてもいいんですけどね。
それを更に熱い展開で乗り越えてくれるなら。
ていうか、やっぱりアーサーにも自分の力で自分の道を切り拓いて欲しいし。
「英雄の血」や「最強の魔法使いの加護」だけではない、自らの力による運命からの解放。
2部以降のアーサーに期待するのはそこです。

 

第25話

魔獣を失い狼狽するオヴィシウスが口にする「あの方=計画の支援者」とはまぁノーヴァですよね。
前に出てきた謎の人物も結局ここまで一切登場していないから彼って事ですよね?どうなの?
けんまほの弱点って公的に極秘事項だったんですね。
そりゃそうだという気持ちの反面、ミスラやオーエンだってオズの傷は知ってる訳で、彼らがあえて外に広めるような事はしないだろうけど別に隠すような義理も無いと思うので、その実効性は怪しい気がするのですが。
現にオズの傷を利用してオズを倒そうと北3で結託してたし。

 

オズの物理攻撃は映画版「ロード・オブ・ザ・リング」のガンダルフみたいでめちゃめちゃ楽しかったな。
いや、絶対ガンダルフへのオマージュでしょ???(冷静に考えるとそうでもない気がします。)
オズが物理攻撃を意識してるのは「オズの爪痕」でオズ自身が語っているんですよね。
「体を鍛えねばな…。」って。
多分私が恩愛の者だからオズのこういう細かいセリフを覚えていて気が付いているだけで、他にも見落としてるポイントが色々あるんだと思う。
拾いぞびれた小ネタがあったら悔しいな。
スポエピは1回開くとその後はスキップして読まないことが多いから結構忘れてたり勘違いしたままだったりするので、こういうネタを拾われた時にまた読み返そうと思うんですよね。

 

賢者を取り戻したオズが、オヴィシウスに手を下す際に賢者に断りを入れるところはオズの優しさですよね。
そう、この物語全体の中で初めて(初めてですよね?魔女の悪霊みたいなのはあったけど)賢者は魔法使い殺しを目の当たりにするんですよ。
オヴィシウスが結構クズ野郎だったので、オズがヴォクスノクしてもストーリー上でもネット上でもあまり批判されてなかった(賢者も特にそこについて個人の感情は述べていない)んですけど、それで良かったのか?というのは多少あるんですよね。
オズにしてみれば自分の血液を奪われて好き放題されるなんて屈辱以外の何物でないので、私的には「殺せ!!!」という気持ちもあるんですけど、犬バラッドで一度は魔法使い殺しを踏み止まり、イベストでも捕えたオーレオリンに手加減することをカインに諭されてるのに。
もしあの場にアーサーがいたら何か言っただろうか。
オズは例えアーサーが目の前にいても、やるべき時は殺せるとは思うんですよ。
「グランヴェル城の呪いを解くには術者を見つければ(心配ない)」ってフィガロ先生が言ってたけど、具体的に術者をどうすればいいって言ってないんですよね。
殺さないとダメだったのかな?
ブラッドリー方式で約束させて拘束とかできなかったんだろうか?

ただ、オズの血を媒介にして魔力ブーストしてたオヴィシウスって相当強かったとは思うので、やっぱり殺すしかなかったんですかね?
命の優先順位という問題、ここは自分でも考えがまだまとまっていない部分ではあります。


ところで私、この1周年イベストを読んでいる間中、「もしオヴィシウスを倒してターリアの復活を阻止したら双子先生の予言を覆したことになるのでは?」と言い続けていたのですが、双子先生の予言って「今から我らの告げる場所で333年の眠りについておれば、勝機を手にできる。そなたの望みを叶えうる魔道具、もしくは媒介が与えられるじゃろう。(全文)」なんですよね。
オヴィシウスは確かにオズの爪痕でオズの血液を入手できたけど、予言前半の「勝機を手にできる」は実現しなかったのでは?と思うのですが、どうなんでしょうか。
魔道具、もしくは媒介を入手することが「勝機」を指しているとも取れるんですけど。
とはいえ、私の雑なパブサでは同じようなこと言ってる人を全然見なかったので、予言は実現したというのが正しい解釈なのかな…。
でもこれが既に読者に知らされている、2つの予言を覆す糸口になればいいなと思うのですが。


第26話

オヴィシウスの死によって、蔓延っていたいばらも消えアーサーが破壊した()グランヴェル城もヴォクスノクで元通りです。
ヴォクスノク、便利。

 

無事を確かめ合うけんまほがみんな普通に仲良しで可愛い。
家族のような東の国のメンバー。
ネロ、中央の国の大人がいない中リケを心配してくれてありがとね。
ミスラと南兄弟ももうなんだか普通に兄弟みたいでしたよね。

お腹に優しいハーブティで休んでね。
そしてなんとファウスト先生が「人の治療ばかりして、おまえに怪我はないのか?」とフィガロ先生を案ずる言葉を!
「子供たちの怪我を治してくれてありがとう。」
お礼も言ってる!
うわぁ、フィガロ先生良かったねぇ~!!!
いや、勿論ファウスト先生はとても良識があって、個人的な感情と仕事上での評価や感謝の気持ちは切り分けて行動できる人だからだとは思うんですけど。
でもあんなにわだかまりがあった相手に労りの言葉をかけられるって、凄い歩み寄りだなと思って。
ちょっと感激しました。

 

ところでこの夜の出来事は「なんだか不思議な夜」として封印されてしまったのですね。
人間には何も知らさなくていいの?という気も若干するのですが、けんまほがそれでいいならとりあえず私はいいとしましょう。
けんまほの姿を思い浮かべながらの賢者のモノローグが相変わらず繊細で優しい。
誰も知らない魔法使い達の活躍に限りない拍手と花束を贈れるのは自分だけ、と。
タイトル回収その2です。
けんまほの為に言葉で戦った賢者へ欠片のムルから贈られた言葉が、賢者から全てのけんまほへ贈られる、美しい流れですよね。

 

ムルの欠片を賢者から渡されたシャイロックの言葉が深い。
シャイロックとムル、「愛憎」と呼ばれている彼らだけど、色々なムルの違いをムルの表情の一部として受け入れているシャイロックのその気持ちは普通に愛ですよね。

私はシャイロックの健気な愛情が報われたらいいなとは思うのですが、当のシャイロック自身が別にそんな事求めていない気もするんですよね~。
ここは本当にどうしたらいいのか分からない。
どうしたらいいの?


カインとオーエン、明らかにカインは変わったしカインが立ち去った後の無言の微笑(Live2Dだけど)を見る限りオーエンも少し変わった気がするんです。
カインはもうオーエンを置いて行かない決心をしたけど、個人的にはカインだけが頑張ってオーエンの心を開く努力をする展開は絶対に嫌なんですよね。
やっぱり対等な関係が好きなので、ここはが願望も込めてオーエンの努力も期待したい。

そして幸運の指輪を巡る元相棒の顛末。

なんとここで夢の森のひょうきんサミー(ですよね?)がいい仕事をしてくれました。
え?ハッピーエンド?
めっちゃ丸く収まってる。
なんか元相棒の二人は過去の裏切り(疑惑)とかなんやかんやあるんですけど、私的にはラブコメにしか見えなくて、何故か全然ハラハラしないというか微笑ましくさえ思って見ています。
すみません。
いつまでも仲良くね。

 

友人同士の秘め事に高揚するリケ、絶対にシャイロック直伝の魔性の素質がある。
2人とも其々まだ知らない外の世界の真実や、残酷な未来が待ち構えているかもしれないけど、周りには頼れる大人が沢山いるので、きっと乗り越えてくれると思ってる。
ほんと期待してるんで。
「2人で冒険」は始まったばかり。

さて、いよいよ大団円を迎えました。
ここで第1話を振り返ると、この1周年のイベストは賢者とアーサーが箒で空を飛ぶという同じシチュエーションで始まり、終わっているんですよね。
物語にはよくある手法ですが、同じような場面なのに微妙にアーサーのセリフが違うんです。
冒頭では「北育ちだからたまにはハメを外す」と、個人の生まれ育ちを行動原理として説明しているアーサーが、ラストでは「魔法使いだからいけないことくらいする」と言ってる。
「魔法使いだから」というけんまほ全員に共通するアイデンティティーで語っているんです。

これはアーサー1人の心の変化というよりも、「魔法使いの約束」という物語を象徴した演出だなと私は思ったんですよ。
其々生まれも育ちも力の大きさも、考え方や価値観も違う魔法使い達が反発や衝突も経て心を繋ぐ、その拠り所となるのが「魔法使い」という共通の誇りだという事。
この2つの場面のもう一つの違いは、冒頭は賢者とアーサーが2人だけなんですが、ラストはけんまほ全員がその場で空を飛んでいるんですよね。
最初はバラバラだった魔法使い達に「賢者の魔法使いの仲間」としての絆が生まれつつある事の象徴のように思えるんです。
21人の魔法使いが同じ空に舞う事で。
「空に魔法を」
タイトル後半回収です。
1周年ストに相応しい素敵なラストだと思いました。


今回の事件は解決したけど、まだまだ問題は山積みですよね。
ノーヴァらしき人物は暗躍してるし、双子先生の予言もある、フィガロ先生の寿命問題も、ムルの魂の行方も、中央の国と西の国の政治問題や、そもそも大いなる厄災の謎も全然明かされていないし。
でも私は割とハッピーエンドを信じてる派なので!
これからも泣いたり笑ったりしながら物語の行方を追いたいと思います。
「まほやく」1周年おめでとうございます。


(了)

 

 

追記

ラストシーン、魔法使いだからいけないことくらいすると言うアーサーへ向けて賢者が手を伸ばして空に引き上げられるんですけど、具体的に誰の箒に乗ったのかは書かれていないんです。
私は初回読んだ時は相手は完全にアーサーだと思ってたんですけど、読み返してみたらここは誰でも自分の好きな子を選べばいいんだなって思って。

流れ的にはアーサーかもしれないし、「俺の箒に乗せてやる」って言ったシノかもしれないし、最初に声をかけたムルかもしれないし、ルチルかミスラかもしれない。
もっと言うならあの時バルコニーいる描写がない子だって実はいたかもしれないしね。

読者が其々好きにイメージできる余白をあえて残したいいシーンだったなぁ、まほやくの優しさ…って思いました。

 

 

 ※     ※     ※ 

 

まほやく1周年イベスト面白かった!という勢いで感想文を書き始めて約1か月。
長かった…。
最初の方を読み返すと5話分5000字で文字数多い!とか言っていたんですが、今回4話分で9000字超えていましたw
自分の思い出作りの為に書き始めた拙い感想文でしたが、思いの外沢山の方に読んでいただけたみたいで、叱られたりしないか緊張もしましたが、嬉しかったです。
Twitterで「いいね」をくださった方もありがとうございました。
途中でくじけそうになった時、とても励みになりました。
ここまでの長文感想はもうしばらくは書けないと思いますが、こうやってひっそり残せる場を作れたので、今後も気が向いたら何かしら投下できればいいなと思います。
ここまでお付き合いいただきありがとうございました。